アナフィラキシーについての提言
日本医療安全調査機構では、収集した院内調査結果報告書を整理・分析した結果を再発防止策として提言にまとめています。
注射剤に係るアナフィラキシーによる提言が1月に出ています。
提言1(アナフィラキシーの認識):アナフィラキシーはあらゆる薬剤で発症の可能性があり、複数回、安全に使用できた薬剤でも発症し得ることを認識する。
提言2 (薬剤使用時の観察):造影剤、抗菌薬、筋弛緩薬等のアナフィラキシー発症の危険性が高い薬剤を静脈内注射で使用する際は、少なくとも薬剤投与開始時より5分間は注意深く患者を観察する。
提言3(症状の把握とアドレナリンの準備):薬剤投与後に皮膚症状に限らず患者の容態が変化した場合は、確定診断を待たずにアナフィラキシーを疑い、直ちに薬剤投与を中止し、アドレナリン0.3 mg(成人)を準備する。
提言4 (アドレナリンの筋肉内注射):アナフィラキシーを疑った場合は、ためらわずにアドレナリン標準量0.3 mg(成人)を大腿前外側部に筋肉内注射する。
提言5 (アドレナリンの配備、指示・連絡体制)アナフィラキシー発症の危険性が高い薬剤を使用する場所には、アドレナリンを配備し、速やかに筋肉内注射できるように指示・連絡体制を整備する。
提言6 (アレルギー情報の把握・共有):薬剤アレルギー情報を把握し、その情報を多職種間で共有できるようなシステムの構築・運用に努める。
簡単にまとめますと、どんな薬でも気をつけて使用して、アナフィラキシーが怪しい場合にはアドレナリン筋注を含めて直ぐに対応しましょう、ということです。
研修医の頃にはアナフィラキシーの対応は?など上級医に聞かれて”ボスミン(アドレナリンのことです)筋注です!”とか答えさせられることがよくあります。
成人の場合の投与量や小児の場合の量、第二選択、アドレナリン静注の場合の投与量なども大切です。
大抵の知識はインターネットで検索出来る時代ですが、検索する時間もないほど緊急時の対応は記憶しておかないといけない大切な知識です。
常に学ぶ姿勢が大切だと思っています。