新型コロナ感染症患者のICU入室後の転帰について
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の集中治療室(ICU)退出時転帰についてのメタアナリシスです。
2月から致死率に関する報告が出ており、半年が経過しましたが現在の状況はどうでしょうか?
内科・リーレクリニック大手町のコラムです。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の集中治療室(ICU)退出時転帰についてのメタアナリシスです。
2020年1月1日~5月31日に発表された、新型コロナでICUに入室した18歳以上の患者のICU死亡率に関する文献を抽出しています。
24の観察研究で、10150例のコロナと診断されてICUに入室した症例が特定されています。
国別件数は中国8件、米国6件、フランス2件、カナダ、デンマーク、オランダ、香港、イタリア、シンガポール、スペインおよび英国が各1件となっています。
研究全体のICU入室後の死亡率は41.6%(95%CI:34.0–49.7%)で、地域別で差はありませんでした。
また、死亡率は経時的に低下しており、今年3月に50%を超えていた死亡率は5月末に40%近くまで下がっていました。
国別にICU入室基準や治療内容が異なり、致死率低下の要因として特定の治療法により死亡率が低下していることは考えにくいと考えられています。
地域によらず、時間経過とともに死亡率が下がっており弱毒化の可能性も指摘されています。
進化論でいう自然選択説(自然淘汰説)に基づくと、
ウイルスは
- 生き残るために宿主を死なせない
- 感染力は高める
方向に進化していくという理屈です。
RNAウイルスですので世代交代のスピードはとても早いのですが、それにしても速すぎる印象ではあります。
スペイン風邪とよばれたインフルエンザも、今の致死率になるまで長い時間がかかっています。
日本でも湿度と温度のあがる夏場に感染率が下がっていませんが、
だからといって冬の感染拡大がないともいえず分からないことが多い状況です。
まだ分からないことが多い感染症ですが、過度に恐れたり侮ったりせず、感染対策の為だけに生きる人生ではなく、適切に対処する社会であって欲しいですね。