咽喉頭逆流症に対する食事療法
胃酸による症状には、食事療法や体位など治療法はありますが、薬で胃酸を抑えることがとても重要です。
症状を抑えるだけでなく、将来の食道がんのリスクを抑えるためにも胃薬による治療を継続しましょう。
胃酸の逆流による喉の痛みや咳を咽喉頭逆流症といいます。
逆流性食道炎(GERD)の一症状とされることもあります。
今回は、その咽喉頭逆流症に対して、薬物療法と食事療法を比較した論文です。
GERDにはプロトンポンプインヒビター(PPI)と呼ばれる胃酸を抑える薬が使用されます。
症状の緩和や食道がんの発症リスクを抑えるために重要な治療です。
このPPIでの治療に対して、食事療法の効果を比較したものです。
食事は、飲み物をアルカリ水(pH8超)にし、食事全体の90~95%を野菜や果物、全粒穀物、ナッツなどの植物性食品(肉類や乳製品などの動物性食品を5~10%以内に抑える)地中海風の食事です。
この時点でかなり大変そうです。
90%を植物性、飲み物はアルカリ性の水だけ、と。
結果としては6週間後の症状の差はなく、食事療法の優越性は証明出来ませんでした。
(症状スコアが6点以上改善した患者の割合は、PPI治療群で54.1%、食事療法群では62.6%)
有意差がない=差がないと考えてしまう方が時々いらっしゃいますが、同等性とは全く別のお話です。
極端な話、極端にサンプル数が少ないなど試験の質が低く信頼区間の幅が狭い場合には何を比較しても有意差はでなくなってしまいます。
今回の試験では有意差がないというだけで、差があるかないかは不明の結果です。
いずれにせよ、食道がんのリスクは比較されていませんし、何より厳しい食事制限よりもPPIを1日1回飲むほうが手軽な気がします。
後発品のPPIですと1錠30円、3割負担の方でも10円の負担です。
日本の皆保険制度に入ってる方は大変な食事療法に取り組むよりもお薬を飲むほうが負担が少なそうです。