家族性高コレステロール血症の治療の長期成績
家族性高コレステロール血症への治療は早期から、継続的に行うことが有用です。
「そろそろ治療しとこうかな」と中年期以降に来られる方もいますし、
継続的に通院しているかたはとても少ないのが原状です。
せっかく知見が得られても実社会で活かせないと勿体ないですね。
小児期からスタチンでの治療を始めた家族性高コレステロール血症の方の追跡調査です。
20-Year Follow-up of Statins in Children with Familial Hypercholesterolemia.
前提として、家族性高コレステロール血症の方は、
・LDLコレステロール値が非常に高い
・心血管疾患による死亡率が高い
という特徴があります。
簡単なイメージとしては下記のような感じです。
家族性高コレステロール血症
LDLコレステロール値が高い ↓ 内幕中膜複合体が厚くなる(≒動脈硬化が進展している) ↓ 心血管疾患を起こす |
今回の研究は家族性高コレステロール血症患者184例(開始時は214例、平均年齢13歳)が対象となり、そのおよそ80%がスタチンを使用しています。
平均LDLコレステロール値は、237mg/dLから160mg/dLに低下しています。
・頸動脈の内幕中膜複合体の厚みの変化は、0.0056mm/年
(健常者0.0057mm/年で有意差なし)
・心血管疾患の39歳時での累積発症率は1%
(未治療の親の累積発症率は26%)
とのことでした。
ざっくりいうと、スタチンで治療さえすれば家族性高コレステロール血症も健康被害を起こす病気ではない、という事です。
未治療の家族性高コレステロール血症の方が、39歳時点で26%の人に心疾患が発症することを考えると素晴らしい成績です。
家族性高コレステロール血症の方は早期から継続的な治療が有効です。
自覚症状が無いため、放置している方も多いと思いますがコレステロール値が高い方は医師に相談しましょう。