小児のコロナ感染での予後
また都内での感染者数が増えて話題となっているコロナウイルス感染についてです。
高齢者がハイリスクなことがよく知られていますが、小児の予後はどうでしょうか?
内科・リーレクリニック大手町のコラムです。
COVID-19 in children and adolescents in Europe: a multinational, multicentre cohort study
ヨーロッパでのCOVID-19についての多施設コホート研究です。
もともと、小児は重症化例が少ないとされ、予後を検証した報告は多くありませんでした。
今回はヨーロッパ25カ国82施設のデータから、2020年4月1〜24日にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査で新型コロナウイルス陽性だった生後3日〜18歳の582例(年齢中央値5.0歳)を抽出して解析しています。
- 582例のうち入院したのは363例(62%)
- ICUへの入室を必要としたのは48例(8%)
- 人工呼吸器を必要としたのは25例(4%)
- 体外式膜型人工肺(ECMO)を必要としたのは1例(1%未満)
でした。
国別の感染状況はこちらです。
ICU入室のリスク因子は
- 生後1カ月未満〔オッズ比(OR) 5.06、95%CI 1.72〜14.87、P=0.0035〕
- 男性(同2.12、1.06〜4.21、P=0.033)
- 既存疾患(同3.27、1.67〜6.42、P=0.0015)
- 下気道感染症の症状(同10.46、5.16〜21.23、P<0.0001)
が有意な因子として抽出された。
調査終了までに死亡したのは4例でした(症例死亡率0.69%、95%CI 0.20〜1.82)。
著者は、乳幼児を含む小児では軽症例が多く、死亡はまれであると結論しています。
ちなみに日本での全年齢での死亡率は、PCR陽性18723例、死亡974例でおよそ5%です。
普通の風邪から心筋炎やVAHSのようは致命的な合併症を起こす頻度は稀すぎて不明です。
COVID-19では小児が0.69%亡くなっているというのは重い数値のように感じます。
早くワクチンや治療薬が出来ると良いですね。