アルコール摂取と認知症
アルコール摂取と認知症のリスクについてはJカーブ現象が確認されています。
無理にお酒を飲む必要はまったくありませんが、人とのつながりを大切にして、たまの飲み会などを楽しみましょう!
アルコールと健康についてこれまでいくつか論文を紹介しました。
以前は、少量のアルコールは心疾患を抑えるとか生命予後が長いと言ったいわゆるJカーブ減少が報告されていました。
最近は少量でもアルコールは健康に有害という報告が多い印象です。
そんな中、認知症に関してJカーブ的な報告が出ています。
やっぱりお酒飲むと楽しかったり美味しかったりでこういう報告出ると嬉しくなっちゃいますね。
Alcohol consumption and incident dementia in older Japanese adults: The Okayama Study.
日本人高齢男性におけるアルコール消費量と認知症発症リスクについて
後ろ向き(レトロスペクティブコホート)研究です。
以前集めたデータを後から振り返ったと考えて下さい。
日本人高齢者53,311人を、2008~14年まで調査したデータです。
7年間の調査期間中に、認知症と診断された高齢者は、14,479例でした。
ちょっと複雑な結果なので、シンプルに分けて書きます
*飲酒が1日2ユニット以下(純アルコール換算:40g)の場合
お酒を飲まない人と比べて、機会飲酒の人、毎日飲酒の人男女ともに統計学的に有意は認知症発症リスク低下が認められました。
*1日2ユニット超の場合
有意差がありませんでした。
ということで1日2ユニットまでなら飲酒している人のほうが認知症発症リスクが低いというお話でした。
国外の調査でもアルコール摂取と認知症発症リスクのJカーブ現象は報告されています。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-007.html
これだけ見ると、少量のアルコールが認知症に対して保護的に働くと解釈されそうです。
しかし、アルコールは脳の認知機能を下げますし、大量のアルコール摂取により脳の萎縮がおき認知症を発症することも知られています。
論理的に考えるとアルコール摂取は認知症のリスクをあげそうです。
おそらくですが、高齢者で飲酒の機会がある人は、ない人に比べて友人が多い、人と話す機会が多い、という影響があるのではないかと思います。
人とのつながりが健康寿命と関連があることがよく知られています。
疫学の調査で、SES(social economic status)と健康の関連が出ていることはなんとも残酷な結果です。
でも人とのつながりが健康に寄与するというのは誰にとっても明るい話題ですね。
健康被害が出るほど多くはアルコールを飲まず、友人と良い時間を過ごすのに少しアルコールを飲むのが健康的なイメージです。
完全に僕の個人的な意見です。
無理にお酒を飲む必要はまったくありませんが、人とのつながりを大切にしましょう!