スタチン投与と脳卒中の再発リスク
スタチンの中止により脳卒中が増加したという観察研究の紹介です。
スタチンに関しては色々な情報が出回っています。
根拠のしっかりした記事を参考にしたいですね。
スタチンの中止による脳卒中の再発リスクを調べた論文の紹介です。
Utilization of Statins Beyond the Initial Period After Stroke and 1‐Year Risk of Recurrent Stroke
アテローム動脈硬化による脳卒中の再発予防にスタチンが推奨されています。
(2013年のACC/AHA米国心臓病学会及び米国心臓協会のガイドラインより)
入院中のスタチンの中止が再発リスクを高めることは報告されていますが、退院後の中止については検討されていません。
そこでこの研究では、脳梗塞で入院し、発症90日以内にスタチンの投与を受けた患者さんを対象とし、
発症から3ヶ月から6ヶ月の間に
1 スタチン継続
2 スタチンの強度を下げた
3 スタチン中止
に分けて観察を行っています。
(これは観察研究で、スタチン中止群などと無作為に割り付けたりはしていません。恐らく倫理的に問題が出ますので。。。)
結果は、解析対象45,151例のうち3,623例が継続、3,175例が減量、8,353例が中止していました。
追跡期間中に継続群の1,474例(4.4%)、減量群の129例(4.1%)、中止群の517例(6.2%)が脳卒中を再発しました。
継続群に対するハザード比で中心群では42%のリスク増加がみられました。
減量群に関しては脳卒中の再発リスクを増加させなかったようです。
これは観察研究で、スタチンの減量や中止の理由が不明ですのですので解釈が難しいです。
スタチン中止群には色々交絡があるのかもしれません。
いずれにせよ、何かとメディアで悪いクスリとして槍玉に挙げられるスタチンですが、中止することのリスクも考えて欲しいなと思います。
コレステロールは高いほうが長生き!(肝障害や高齢でコレステロールが低い方の生命予後が短いことを無視した研究が根拠)
スタチン使っても心血管イベントは抑えられない!(AURORA研究が引用元ですがこれの対象は透析患者さんです)
といった記事は注意して読む必要がありますね。