スマートフォンによる中耳炎の診断
中耳炎の診断をするためのスマートフォンアプリの開発についてです。
将来的には色々な課題を乗り越えて人間の感覚でやっていたことがどんどん機械で出来るようになっていくと思います。
医療の質が上がって、みんなの健康寿命が伸びるのはとても喜ばしいことですね!
Detecting middle ear fluid using smartphones.
スマートフォンを使って、小児の中耳炎の診断が出来るか、というアプリの検証です。
マイクとスピーカーと小さな紙を使って、耳の中の反響音から診断するそうです。
百聞は一見にしかず、で動画があるのこちらを。
シアトルの小児科で、滲出性中耳炎で治療予定の患者さんや、耳は正常な患者さんで学習し、AUC 0.898のROC曲線を得たそうです。
*ROC曲線は検査の精度を見るグラフで局面下面積(=AUC;area under the curve)が高ければ高いほど正確だと考えてください。
最大値は1です。
今回の場合は、音の反響?を連続変数として、アウトカムが滲出性中耳炎か否かというゼロイチの二分変数です。
ROC曲線に関して大阪大学の腎臓内科さんが丁寧に説明しています。
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/kid/clinicaljournalclub6.html
このROC曲線からは、感度85%特異度82%のカットオフ値が設定できたようです。
これがどれくらい精度の高い検査なのか専門外の僕にはなんとも言えないのですが、著者らによると既存のティパノメトリーや耳鏡の検査に匹敵する(comparable toという表現です)そうです。
開発者によると、機械学習により更に精度があがるという話です。
機械学習やdeep learningとか不勉強で疎いのですが、医師が多くの症例で耳鏡を覗いて上級医から指導を受けて診断精度が上がるみたいなイメージ持ってます。
教師あり学習のイメージです。
deep learningがうまく活用されると、反響した音以外に痛みによる手の震えとか、他の診断に寄与する変数見つけてきそうで楽しみです。
今回のものは、耳に液体が溜まることを音で調べる装置のようです。
滲出性中耳炎以外の他の原因で耳に水が貯まることもあるので使い方には注意が必要そうです。
(外リンパ瘻などの疾患です)
めまいの有無や浸出液の性状から人間(医師)による検査では間違うことはなさそうですが、このアプリだけを使うと区別がつかないのでは、と感じました。
将来的には色々な課題を乗り越えて人間の感覚でやっていたことがどんどん機械で出来るようになっていくと思います。
医療の質が上がって、みんなの健康寿命が伸びるのはとても喜ばしいことですね!