心不全に合併する心房細動に対するカテーテルアブレーション
心房細動に対するカテーテルアブレーションは新たな研究報告が多い分野ですが、NEJMに掲載された論文の紹介です。
Catheter Ablation for Atrial Fibrillation with Heart Failure
心不全患者さんの治療において、体液量や血圧のコントロールがとても重要です。
心不全患者さんの中には心房細動を合併している方もいます。
そういった場合、心房細動による心臓の拍出量の低下が心不全治療の足を引っ張っていることが考えられます。
そこで心房細動のある心不全患者さんにカテーテルアブレーションでの治療が期待されています。
この論文では、心房細動を有する心不全患者さんのうち、抗不整脈薬が効果がなかった人、飲みたくないという人、副作用が出た人を対象にしています。
一般的な心不全の治療に加えて、カテーテルアブレーションを行った群と薬物による心拍数コントロール(レートコントロール)を行った群を比較しました。
ちなみに、この試験に参加した患者さんはみなさんニューヨーク心臓協会分類 II~IV 度の心不全を有し,左室駆出率が 35%以下であり,除細動器を植え込んでいました。
簡単に言うと、めちゃくちゃ重症でハイリスクな心不全の方たちです。
結果としては、およそ三年後の時点で,複合主要エンドポイントが発生した患者は,アブレーション群のほうが薬物療法群よりも有意に少なかったとのことです。
疾患別の結果としては、全死因死亡,心不全の悪化による入院,心血管系の原因による死亡が有意に少ない結果でした。
ということで、重症な心不全で心房細動がある場合にはカテーテルアブレーションでレートコントロールでなくリズムコントロールを目指すことに価値がありそうです。
ただこのカテーテルアブレーション、入院して行う処置ですのでなかなか気軽には受けられないと思います。
主治医と相談してカテーテルアブレーションでの治療を受けるか薬での治療とするか決めることが大切です。