炭水化物摂取と死亡率
低炭水化物食は短期的には体重だけでなく血糖値なども改善することが報告されておりますが、長期的な成績は不明です。
今回の結果から結論付けられませんが、極端に炭水化物を制限した食事や炭水化物の摂取率が高い食事を長く続けることは有害かもしれません。
Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis
ランセットに掲載された炭水化物の摂取割合と死亡率の関連を調べた論文です。
低炭水化物食は、体重減少のための定番の食事方法です。
特に、脂質異常症や高血圧、糖尿病などの疾患を持つ方が取り組むことも多いかと思います。
ダイエット業界でも、ローカーボダイエットなど呼ばれとてもメジャーです。
しかし、長期的なこの食生活により生命予後がどうなるかはまだわかっておりません。
炭水化物摂取率が少ないほうが死亡率が上昇することがよく報告されていますが、2017年には炭水化物摂取率が高いほうが死亡率が高くなるという報告もありました。
特に、脂質とタンパク質を動物性のものでとるか植物性のもので摂るかで変わる可能性があります。
今回は低炭水化物食と死亡率の関連、脂質やタンパク質を動物性か植物成果で結果が変わるかを調べた論文です。
例の、メタアナリシスというこれまでの論文のデータを統合して調べる手法です。
アメリカの45-64歳の15428人が組み込まれました。
エネルギー摂取量が極端な場合は、解析対象から除外されています。
* 男性:600kcal~4200kcal、女性:500kcal~3600kcaが対象
結果です。
全体の摂取エネルギーに占める炭水化物の比率は平均48.9%でした。
25年間(中央値)で6283人が死亡しました。
摂取エネルギーのうち炭水化物の比率と総死亡リスクの関係はU字型の関連がみられました。
総死亡リスクは炭水化物摂取率が50~55%のときが最も低い結果でした。
動物性と植物性の比較の結果です。
動物由来の脂質やタンパク質を摂取した場合は総死亡のリスクが上昇しました。(HR:1.18、1.08-1.29)
植物由来の脂質やタンパク質を摂取した場合は低下しました。(HR:0.82、0.78-0.87)
植物性の油脂類を摂るとLDLコレステロールが低下し、動物性だと反対に増加します。
ですので植物性の脂質を摂ると死亡率が低下することは自然です。
日本人では動物性といっても魚介類の摂取が多いのでまた違った結果が出るかもしれません。
低炭水化物食は短期的には体重だけでな血糖値なども改善することが報告されておりますが、長期的な成績は不明とされています。
今回の観察研究を統合した結果から決断は難しいですが、極端に炭水化物を制限した食事を長く続けることは有害かもしれません。
もちろん、アメリカ人の油脂を異常に食べている肥満者が早死というだけかもしれませんが。
5分割で最も炭水化物摂取率が低いグループは以下の特徴がありました。
若い/黒人が少ない/男性が多い/BMIが大きい/余暇の際の運動量が少ない/収入が多い/喫煙者や糖尿病患者が多い
介入研究で、長期的な低炭水化物食の影響が検討されることを期待しています!