風邪と肺炎の見分け方|内科リーレクリニック大手町
同じ呼吸器感染症の肺炎と風邪の違いについて説明します。
どちらも感冒症状、いわゆる風邪の症状の発熱や咳が出ますが対応が異なりますので見分けることが重要です。
とは言え、どちらも呼吸器系の感染症で似た症状が出やすいです。
内科学は診断学です。
見分けるポイントを紹介します。
風邪症状で終わることもあれば重症化し肺炎を起こすこともある新型コロナウイルスについても記載しています。
大手町の内科による解説です。
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風邪と肺炎の定義
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風邪と肺炎の症状
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風邪と肺炎の検査結果
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風邪と肺炎の治療方針
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新型肺炎コロナウイルス感染症と細菌性肺炎の違い
の順に記載します。
1.風邪と肺炎の定義
まずそれぞれの疾患について説明します。
風邪:ウイルスによる上気道の感染です肺炎:主に細菌による上気道から下気道、肺胞まで感染が広がった状態です |
*ちなみに気管支炎は細菌による気管支までの感染です。
肺炎と同様の症状なのにレントゲンに異常がない状況と考えて下さい。
流行中のコロナウイルスは、ウイルス感染にも関わらず肺炎を起こす特殊なウイルスと考えて下さい。
*同じ上気道炎の風邪とコロナの違いも出ています。 コロナウイルス感染の臨床的特徴詳しくはこちらをご参照下さい。 |
2.風邪と肺炎の症状
感染が上気道にとどまるか、下気道にまで広がるかで治療法が変わってきます。
特にウイルス感染に限って言えば、一般的な風邪と新型コロナの区別は下気道まで及ぶかがとても大きな違いです。
そのため症状や身体所見、検査所見で明確に区別をつけて治療方針を決める必要があります。
診断が重要で、薬の選択で治療成績が変わるという、内科で取り扱う典型的な疾患です。
上気道のみでも下気道まで広がっても、どちらも呼吸器系の感染症のためいわゆる風邪(上気道炎)症状があります。
具体的には、咽頭痛、鼻汁、咳、痰、発熱、頭痛や倦怠感などです。
肺炎の場合には、色の付いた痰(鉄錆色、緑色など)や1週間以上続く高熱、夜間の大量の汗、呼吸困難感などが特徴です。
咳の特徴としては、痰の絡んだ湿生咳があります。
表にまとめておきます。
風邪(上気道炎)でも起こる症状 | 倦怠感、咽頭痛、鼻汁、咳、熱 |
肺炎に特徴的な症状 | 色のついた痰、高熱、呼吸困難感、盗汗 |
こういった下段の症状がある場合には感染が下気道まで及んでいないのかの確認が重要です。
下気道まで感染が広がった場合、身体所見では呼吸音の変化が出ます。
具体的には、水泡音や捻髪音が聴取されます。
よく内科の医師が聴診器で患者さんの呼吸音の確認をするのはこのためです。
聴診では当てた場所では正常な呼吸音でも、遠い場所の呼吸器感染を見逃していることもあります。
また明らかな水泡音などが聞こえても気管支炎と肺炎の区別はつけられません。
そこで、症状及び聴診所見から肺炎が疑わしいとなった場合にはレントゲン写真での確認が必要です。
大手町の内科クリニックの当院でも、呼吸器感染症の場合にはまずレントゲンで確認します。
3.風邪と肺炎の検査結果
レントゲンでの確認の結果、肺炎がある場合には、血液検査で炎症反応や腎機能の確認(薬の用量調整が必要な場合があります)、肺炎球菌の抗原を調べる尿検査などが追加で行われます。
レントゲンの影(異常陰影)の性状によってはCTも撮影します。
細菌性肺炎ではなく間質性肺炎や、肺がんが無いかといったことの確認に有効です。
特に新型のコロナウイルスによる肺炎では、画像の特徴として、
- 両側性
- 網状影
が多いという報告があります。
4.風邪と肺炎の治療方針
細菌性肺炎の治療は抗菌薬の点滴や内服、場合によっては酸素吸入や人工呼吸器の使用です。
ウイルス性の風邪の場合には抗菌薬は無効ですが、細菌性の肺炎では重要な治療です。
5.新型肺炎コロナウイルス感染症と細菌性肺炎の違い
ウイルス性ですが肺炎を起こすコロナウイルス感染を普通の細菌性肺炎と区別をつけることは少し難しいとされています。 もちろんPCRの検査で確認をすればコロナウイルス感染の有無は分かるのですが現状は手軽にできる検査ではなく結果が出るまで時間もかかります。 現在は制度の高い抗原検査があり、その場で結果が出せるようになりました。
といった特徴で予想されます。 また最近は、重症化する症例ではLDH,Dダイマーなどが上昇していることが多いという報告もあります。 |
治療方針が異なるために風邪と肺炎を見分けることが重要です。
上記の症状で肺炎の可能性がある場合には主治医に相談しましょう。