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2型糖尿病の初期治療の比較

2型糖尿病の初期治療として、DPP4阻害薬のエクアとメトホルミンの併用療法と、メトホルミン単剤から開始する段階的療法との比較をした研究です。

5年間の追跡期間で、通称VERIFY試験です。

Glycaemic durability of an early combination therapy with vildagliptin and metformin versus sequential metformin monotherapy in newly diagnosed type 2 diabetes (VERIFY): a 5-year, multicentre, randomised, double-blind trial.


34ヵ国254施設で、2型糖尿病と診断後早期かつ治療歴がない患者2001名(HbA1c:6.5~7.5% [48~58mmol/mol])が対象となりました。

すごい規模ですね。

もちろん製薬会社主導です。

製薬会社主導となると、すぐに陰謀論的なことを言う人もいます。

確かに懐疑的に丁寧に論文を読むことは大切です。

ただこういった希望の多施設共同無作為化比較試験は大きなスポンサーがないと行えないのも事実です。

鵜呑みにするのもあれですが、せっかくのお金をかけて調べた研究を疑って読まないのもどうかと思います。

この試験を組んだのはノバルティスで、かの有名なディオバン事件の会社なのであまり庇いづらいところもありますが。。

そして、なんとノバルティスさんが日本語で結果をまとめてくれています。

ノバルティス、2型糖尿病を対象とした5年間のVERIFY試験で、「エクア®錠」とメトホルミンの早期併用療法における長期的な有効性を証明

さすがweb記事、論文と違って攻めたタイトルですね。

併用療法のほうが、脱落率(2回連続でHbA1c>7.0%)が低く、5年間より低いHbA1cが出ていたそうです。

特に有害事象にも差はなかったそうです。

すでにエクメットというエクアとメトホルミンの配合剤はあります。

保険適応は、2型糖尿病 ただし、ビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される場合に限る。

となっています。

併用が適切と判断したら使えそうな記載ですが、大抵はどちらかで治療して効果不十分の時に追加となります。

そうでないと、返戻(*)されることがあります。

*返戻 保険診療のルールで、保険を切られて処方した医療機関の開設医に費用を負担させる制度です

    みんな手探りで返戻をなるべくされないよう診療しています

この結果を受けて初回治療から配合剤も保険通るようになるのでしょうか。

ちなみに、薬価を比べると

薬価
メトホルミン500mg 10.1円
エクア 73.4円
エクメット 73.5円

メトホルミンはこの試験では1000~2000mgで使われており、1錠ではないのですがそれでも結構な薬価差になります。

メトホルミン1000mgで20.2円、エクメット(メトホルミン1000mg+エクア)で73.5円の1日薬価です。

10年飲むと7万3千円と27万円弱と結構な差になります。

日本の成人の糖尿病患者数は720万人です。

メトホルミン単剤でコントロールできる人はそのほうが良い気もしてしまいます。

しかし、あとからエクアを追加したグループのほうが長期的に血糖コントロールが悪いという結果が出ています。

血糖が上がってから追加しても一緒、という感覚的なものとは反対の結果です。

よく言われる糖毒性か、DPP4阻害薬の多面的な作用かは不明ですが慎重な判断が必要です。

ガイドラインや保険のルールがどうなるか楽しみですね。

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