東京都千代田区大手町の内科・健康診断・予防接種

代替塩の心血管疾患抑制効果について

高血圧の治療の一環として、塩分制限がよく言われています。

とはいえ慣れた塩分の量から減らすと味気なく感じる方も多いです。

そのため、NaClだけでなくKClも入った代替塩の仕様をよく勧めています。

今回はその代替塩による心血管疾患の抑制効果をみた論文です。

大手町の内科クリニックのコラムです。


代替塩(NaClの含有量の少ない塩)は、血圧を低下させることが知られています。

僕もよく外来で、高血圧の方に勧めています。

やさしお、ウレシオ、減塩習慣といった商品名で少し大きめのスーパーや、Amazonでも売られています。

この代替塩は、血圧低下、血中Na低下、血中K上昇といった影響があるのですが、心血管疾患への影響を調べた研究はありませんでした。

Effect of Salt Substitution on Cardiovascular Events and Death.

60歳以上で高血圧(もしくは脳卒中の既往)の有る方を対象に、普通の塩でなくNaCl(塩化ナトリウム)75%含有の代替塩を使用することの影響をみています。

およそ2万人を5年弱追跡しています。

結果は、

脳卒中の発生率

  • 代替塩群29.14/1,000人年
  • 通常塩群33.65/1,000人年

と、代替塩群が有意に低い結果でした。

 

主要心血管イベント発生率

  • 49.09/1,000人年
  • 56.29/1,000人年

と、代替塩群が有意に低い結果でした。

 

心血管疾患による死亡率

  • 39.28/1,000人年
  • 44.61/1,000人年

と、代替塩群が有意に低い結果でした。

 

高カリウム血症による重篤有害イベントの発現頻度

  • 代替塩群3.35/1,000人年
  • 通常塩群3.30/1,000人年

と、有意な差はありませんでした。

まとめると、代替塩によって有害なイベントも増えず、心血管疾患を抑えられるということでした。

家で料理するときはぜひ積極的に、やさしおやウレシオなどの代替塩を使いましょう。

少しカリウムの、すっと抜けるような苦味が混ざりますが普通に塩として使えると思います。

 

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