心房細動による認知症リスク
認知症のリスクに関する研究です。
認知症になって、大切なことをどんどん忘れていくことは怖いことですし、身の回りのことが出来なくなると周囲への影響も大きいです。
特に高齢化の進む社会では、自立していられることが重要かと思います。
当院はオフィス街にあるため、通院患者さんはほとんど認知症はありませんが、将来の発症を考え予防できることは取り組む価値があります。
心房細動が心配な方は、ホルター心電図などの検査を行うことが可能ですのでご相談下さい。
心房細動と認知症の関連についての論文です。
Atrial fibrillation increases the risk of dementia among older adults even in the absence of stroke.
心房細動は心原性脳梗塞の原因となります。
脳卒中後の認知症を脳血管性痴呆と言ったりもします。
脳卒中が無い場合にも、心房細動が認知機能脳低下や認知症と関連することが示唆されています。
今回は心房細動と認知症の関連について検討しています。
2000年、2001年に70歳の方461名が対象となっています。
75歳、79歳の時に追加調査を行っています。
結果です。
心房細動をグループでは、12年間のフォローアップ期間に認知症リスクがほぼ3倍に増加し(HR:2.8、95%CI:1.3~5.7、p=0.004)ています。
これはベースライン時およびフォローアップ時に脳卒中を有する参加者を除いた場合にも同様の結果でした。
認知症のリスクを測る遺伝子検査のAPOE遺伝子検査と心房細動の交互作用も出ています。
APOE対立遺伝子ε4の非保有者では、心房細動による認知症のリスクが高まるという結果です。
(APOE対立遺伝子ε4は、保有していると認知症のリスクが3-11倍に高まる遺伝子です)
心房細動は、慢性のものもありますが発作性のものもあります。
検診で心電図に異常がない場合にも、時々胸がドキドキする場合には注意が必要です。
安静時の心電図ではなく、ホルター心電図という24時間波形を記録する心電図での検査が有用です。
気になる方はご相談下さい。