東京都千代田区大手町の内科・健康診断・予防接種

脳卒中の予防

血圧の管理がとても大事です。薬をのむのに抵抗がある、と高いまま放置するのは危険です。

薬を飲まずにリスクを下げたい場合、降圧薬を飲みながら生活習慣を改善し、薬無しで血圧が良くなることを目標にしましょう。

また不整脈(心房細動)がある場合には抗凝固薬による治療が非常に重要です。


当院の患者さんは若く健康な方が多いのでそういった方にあわせて脳卒中治療ガイドライン2015の内容から紹介します。

重要な点は以下の3点です。

1 高血圧はすべての脳卒中型(色々な脳出血や脳梗塞)に共通した最大の危険因子(グレードA)

2 非弁膜症性心房細動がある場合にはワルファリンもしくは直接作用型経口抗凝固薬(NOACやDOACと表記される薬です)による予防が推奨(グレードB,C)

3 無症候性脳梗塞に抗血小板剤は勧められず降圧療法が重要(グレードB,C2)

*推奨グレードについて

A:行うよう強く勧められる

B:行うよう勧められる

C1:行うことを考慮しても良いが十分な科学的根拠はない

C2:科学的根拠がないので勧められない

D:行わないよう勧められる

 

・1について

以前から重要視されていたことです。

よくある質問をまとめます。

Q 高血圧があるとなぜ血圧を下げる必要があるの?

A 脳卒中や心筋梗塞の予防、腎機能の保護のためです。

Q 血圧の薬は一度飲んだら辞められないから飲まないほうが良いですよね?

A 飲まない場合上記のリスクが高いままとなります。また降圧薬を開始しても生活習慣の改善や減量により薬を止められることもあります。

高血圧の非薬物療法についてはこちら

 

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脳出血や心筋梗塞で突然死したり、脳梗塞で寝たきりになったりすることは本人とっても家族や友人にとってもつらく、社会的損失の大きいことです。

避けられる不幸を避けるために主治医と相談しましょう。

 

・2について

DOACの追加が以前からの変更点です。

これまで心房細動がある場合には抗凝固薬(ワルファリン)により脳梗塞の予防が重要と言われてきました。

特に心原性脳塞栓による脳梗塞は広範囲な脳梗塞となりやすく生命の問題となったり、完全な片麻痺となったりインパクトが大きいものです。

そのためワルファリンの使用が勧められていたのですがDOACもこれに加わりました(CHADS2 2点以上の場合:グレードA)。

脳出血のリスクが低いことから状況によってはDOACのみが適応となることもあります(CHADS2 1点の場合:グレードB)。

ワルファリン、各種DOACのどれが適しているかは、病態だけでなくライフスタイルも影響します。

(薬の飲み忘れや食事の嗜好など)

不整脈、心房細動がある場合には主治医とよく相談して治療方針を考えましょう。

 

・3について

近年は無症状の方も人間ドックや脳ドックでMRIを撮影することがあります。

その場合に偶発的に見つかった脳梗塞を無症候性脳梗塞といいます。

以前は、脳梗塞があるとその後もハイリスクであると考えて抗血小板薬を開始する医療もみられました。

しかしその有効性に関するエビデンスがなく、反面脳出血のリスクを増加させるため抗血小板薬による予防は推奨されないとなりました(グレードC2)。

1についてと同様に降圧療法が最も重要です(グレードB)。

 

すべてを通して言えることは、予防には降圧療法が重要で、不整脈がある場合には抗凝固両方が必要です。

健康診断やドックなどで高血圧や不整脈を指摘された場合には必ず主治医に相談しましょう。

避けられる病気を避けて、悲しい思いをしないように努めましょう。

 

生活習慣病(高血圧糖尿病脂質異常症など)の改善は地道ですが有効な方法です。

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